富士山測候所を活用する会

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良くあるご質問(FAQ)




(NPOについて)
Q1. NPOの前身となったのは何でしょうか
気象観測での役割をほぼ終えたとして冬季無人化され、廃止の可能性が高まっていた富士山頂は、大気化学の研究者にとっては自由対流圏の大気の質を定点で長期連続観測できる場所であり、放棄してしまうには惜しいと考え模索を続けていました。2004年8月に、それまでバラバラで対応してきた研究者で「富士山高所科学研究会」を作り、大気化学を中心に、高所医学、宇宙科学、生態学などの研究者が分野を超え連携をはじめました。
「高所科学研究会」は、静岡・山梨両県の支援のもとに、レーダー建設時の現場責任者、著名な登山家を講師として迎え、シンポジウムを静岡と東京で行い世論に訴える一方、国会議員への支援依頼や、国土交通省、文部科学省、環境省、気象庁など国へ働きかけてきました。しかしながら、省庁間の壁は厚く、気象庁がもてあましたものを引き取る部署はありませんでした。そこで取り潰しを防ぐために、この「高所科学研究会」が母体になり研究者たちがNPOを立ち上げました。責任ある借受母体となるためです。

Q2. NPOで運営するメリットは何でしょうか
気象庁が管理していた時代には利用できなかった分野、宇宙線の測定、生態学、高所医学や高所トレーニングなどの研究者に開放することが出来ました。2007年からは夏の2ヶ月だけですが、3年間、事故もなく無事に管理できたこともあり、利用希望者が毎年増加しています。大変やりがいはある仕事ですが、まだまだ前途多難です。

Q3. NPOの活動資金はどこから来ているのでしょうか
公的な補助はなく、主に競争的研究資金に頼っています。現在JAMSTEC(海洋開発研究機構)との共同研究、国立環境研究所や新技術振興渡辺基金からの委託研究、年賀寄附金、一般公募利用研究者の負担金、会費、有志の寄付などでまかなっていますが、火の車です。毎年新しい研究資金に応募しハラハラしながら運営しています。




(大気観測について)
Q1. 富士山で大気観測をするのはなぜでしょうか
富士山は日本最高の独立峰なので、山頂は多くの時間、上空の強風にさらされています。経済発展の著しいアジアの風下にありますから、汚染大気は直接やってきます。さらにアジアでの汚染ははるか太平洋を越え、世界に広がることが懸念されております。この長距離の輸送は、地表付近の大気の上に位置するいわゆる「自由対流圏」(地面の影響を受けない大気)で起こります。富士山頂は典型的なコニーデ型火山であることから、この自由対流圏に先端が突き出した形態となっており、大気化学の観測の拠点として最適な地点です。飛行機観測ではなく大地に足を着けて観測が行える利点ははかりしれません。

Q2. 世界の他の国では大気観測はどのようにして行っているのでしょうか
このような高所山岳には、様々な自然観測・観察の拠点、自然科学の研究拠点として、ハワイのマウナロア山、中国のワリガン山、ヨーロッパアルプスのユングフラウヨッホをはじめ複数の地点があり、大気化学のみならずさまざまな分野での観測、観察、研究に有効利用されています。山頂は冬季には極地になることから、材料分野などの先端技術の開発研究に極限環境としての性能試験の場を提供することも可能でしょう。こうした観点からすると、我が国においては山岳観測拠点の整備は遅れております。
一方、いま東アジアの大気環境は悪化の一途をたどっており、緊急な対策が必要です。世界的にも山岳を使って自由対流圏の観測を行う動きがあり、ネパールのクンブー渓谷のABCピラミッド観測所(EUが運営)、台湾の鹿林山などは2006年から連続観測を行っています。太平洋への出口に当たり観測空白域にある富士山のデーは注目されていますが、現在のところ夏の2ヶ月しか観測しておらず肩身が狭いのです。

Q3. 大気観測は自動観測できないのでしょうか
気温や気圧の観測といった気象観測では、日々のメンテナンスを必要としない自動観測でも役割を果たせる面があるかもしれません。しかし大気化学観測では、そういった技術水準が達成されていないものが多く、サンプルの採取や保存、標準ガスの分析器への供給や高度な化学分析を実施するにあたって、自動化ではなく観測員による手作業の操作がどうしても必要です。

Q4. 通年観測はなぜ必要なのでしょうか
この利点を活用して、大気化学研究者は、90年代より富士山頂において夏季の大気化学観測に取り組んでまいりました。オゾン・一酸化炭素・二酸化炭素・二酸化硫黄、放射性核種であるラドン・ベリリウム、森林火災を捉える黒色炭素粒子の濃度や、エアロゾル(大気を浮遊する微粒子)の化学成分などの観測を通じ、地球規模での物質循環の仕組みを明らかにするための興味深いデータが出始めております。観測は始まったばかりであり、より効果的・効率的に観測を継続することで、データの価値が一段と高まるとともに、自然の仕組みの詳細な解明に寄与できます。

Q5. 今後の課題は何でしょうか
富士山は日本人にとって象徴的な意味をもつ山であり、かつ自然の威厳と壮大さを教えてくれる場所でもあります。気象庁によってこれまで維持されてきたさまざまな蓄積をさらに広く国民で共有し、山頂の美観を損なわない最小限の施設の維持発展をはかりながら、環境科学のみならず、地震火山学や天文学、宇宙科学や高所医学、スポーツトレーニング学、先端材料技術、極限環境機器開発など幅広い学問領域に開かれ、教育、野外活動の拠点としても利用可能な効率的な施設を実現することが重要な課題です。
しかし、世界の山岳活動拠点と異なり、頂上とのアクセスは極めて困難であり、冬季の富士山頂は徒歩による登山しか交通手段はありません。したがって、一研究者、一大学、一省庁のみでこの施設を維持できるようなものではありません。幅広く、山に関係する専門家や野外活動に従事する方々のご協力がどうしても必要です。
さらに、ハワイやヨーロッパアルプスの例からも明らかなように、山岳活動拠点は広く世界に向けても公開され、重要な情報発信を行う役割をも担うべきであると考えます。世界の拠点とも連携していくことにより、大きな国際貢献が可能ではないでしょうか。国際的な委員会などを設け、さまざまな国際機関と連携していくことも検討されるべきでしょう。



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